黄金時代と呼ばれたテレビ業界、いわゆるピークTVは、その輝きを失いつつあります。ビートルズの伝記映画や人気シリーズ『ブリジャートン家』のような大ヒット作が英国のスタジオを賑わせる一方で、大きな変化が進行中です。かつてはサウンドステージの建設に殺到していた不動産開発業者たちは、今や人工知能(AI)の爆発的な成長に牽引され、データセンターの建設へと舵を切っています。これは、英国のエンターテインメントとテクノロジーの風景における大きな変革を示しています。
スタジオ建設ブームの終焉
英国映画協会(BFI)によると、英国で制作される映画および高級テレビ番組の本数は、2025年に3年連続の減少が見込まれています。業界幹部は、かつてのような制作拡大の時代は終わったと認めています。「ピークTVの制作はもう過去のものだ」と、ある業界幹部は述べ、「英国の偉大なスタジオ建設ブームは正式に終了した」と付け加えました。
わずか4年前、ストリーミング戦争により、英国制作作品への支出は過去最高の78億ポンドに達しました。これは、パンデミック後に枯渇したカタログを補充するための必死の競争によって促進されました。しかし、2023年のハリウッド俳優組合と脚本家組合による同時ストライキが制作を凍結させ、ストリーミング大手は赤字覚悟の規模拡大から持続可能な収益性へと方針転換を余儀なくされました。
サウンドステージからサーバーファームへ
この方向転換の最も顕著な例の一つが、ジェームズ・ボンドやディズニー作品で知られる象徴的なパインウッド・スタジオです。パインウッドは、計画していた140万平方フィートの拡張のうち78%をデータセンターに転用する計画許可を取得しました。これは、計画されていた21のサウンドステージがサーバーラックに置き換えられることを意味します。
他の主要プロジェクトも中止または転用されています。プライベートエクイティグループのブラックストーンとハドソン・パシフィック・プロパティーズは、ハートフォードシャーにハリウッドスタイルのスタジオ複合施設を建設する7億ポンドの計画を断念しました。現在、データセンターを含む代替用途について協議中です。同様に、仮設スタジオスペースの大手プロバイダーであったステージ・フィフティの閉鎖に伴い、ワイコム・フィルム・スタジオの計画は中止され、代わりに2億6500万ポンドを投じて6つのデータセンターを建設する計画が進められています。
なぜデータセンターへのシフトが起きているのか?
この変革の原動力はAIブームです。人工知能には膨大な計算能力とデータストレージが必要であり、そのためには大規模でエネルギーを大量に消費するデータセンターが不可欠です。不動産開発業者は、これを映画やテレビのスタジオよりも安定した収益性の高い長期投資と見なしています。
- ストリーミングの再調整: Netflixやディズニーなどの企業は、加入者数の増加だけでなく、収益性に重点を置くようになりました。
- コンテンツ発注の減少: BBC、ITV、チャンネル4などの国内放送局は、財政的な圧力から支出を抑制しています。
- 持続不可能な拡大: 英国のスタジオスペースは2020年の300万平方フィートから600万平方フィート以上に増加しましたが、専門家はこれを持続不可能と指摘しています。
英国映画産業への影響
この減速はすでに犠牲者を生んでいます。イングランド北部に制作拠点を築くための4億5000万ポンドのプロジェクト、サンダーランドのクラウン・ワークス・スタジオは、主要な支援者であったケイン・インターナショナルが撤退したため頓挫しました。英国映画委員会(BFC)もこの変化を認めています。「膨大な量のスタジオスペースが建設されました」とBFCの最高経営責任者エイドリアン・ウートン氏は述べ、「3年から3年半の間に、世界のどの国よりも多くのスタジオがここに建設されました。それは持続不可能でした」と語っています。
減少傾向にあるとはいえ、英国は依然として高級映画・テレビ制作の世界的な拠点です。しかし、焦点は明らかにカメラのための建設からコンピューティングクラスターのための建設へと移行しています。この傾向は、物理的な制作施設よりもデジタルインフラが優先される、より広範な経済変革を反映しています。
FAQ:スタジオ vs データセンター
ピークTVとは何ですか?
ピークTVとは、ストリーミングサービスによって牽引された、テレビコンテンツの制作量が記録的に高かった時期を指します。オリジナル番組への巨額の支出により、2022年頃にピークを迎えましたが、市場の飽和とコスト削減によりその後減少しています。
なぜ開発業者はスタジオではなくデータセンターを選ぶのですか?
データセンターは、急成長するAI業界からの安定した長期的な収益をもたらします。変動の激しいコンテンツ需要やストライキに左右される映画スタジオとは異なり、データセンターはクラウドコンピューティングやAI処理能力への高まるニーズに応えるものであり、景気循環の影響を受けにくいのです。
これは英国で制作される映画の数に影響しますか?
はい、利用可能なスタジオスペースが減少または転用されているため、大規模な作品を制作する能力は低下する可能性があります。しかし、英国には依然としてパインウッドやシェパートンといった世界クラスの施設があります。この変化は、既存のスタジオが取り壊されるというよりも、新規開発の方向性が転換されていることにあります。
